「逆境の方が燃えます」新メンバー左海達也が挑戦と挫折の先に得たもの

愛知県瀬戸市を拠点に活動する社会人ラグビーチームGpassioners。左海さんは2023年9月からチームにジョイン。チームの提携企業で働きながらラグビーに没頭する。「メンバーがまだ15人揃っていない状況ですが、自分はこれからのチーム創りに燃えています」と爽やかな笑顔で語ってくれた。今回はチームにフレッシュな勢いをもたらしている左海さんにその原点となる出来事やこれからの展望を伺った。(インタビュアー:岡田淳)

岡田) 今日は新メンバーの左海さんがどんな人なのかを知ってもらうために色々聞いていこうと思います。まず入部してから1ヶ月近く経ちますが調子はどうですか?

 

左海) 仕事とラグビーの両立は正直めっちゃ忙しいですけど充実してます。この1,2ヶ月で仕事を変え、再び選手としてプレーをすることになって一気に色んなことが前に進んだなと感じています。

 

岡田) 練習を見ていてもイキイキしているのが伝わってきます。そういえば入部のときの情熱プレゼンで「自分の人生をラグビーを通じて前に進めていきたい」と仰っていましたよね?

 

左海) そうですね。まさにこれまでの人生はラグビーと共に進んできました。ある意味ラグビーしかやってこなかったとも言えるんですけど…笑

 

岡田) ぜひこれまでのラグビーを通して人生を進めてきた話を聞かせてほしいんですけど印象に残っていることはありますか?

 

左海) 高校3年間は人生が大きく進んだなと思います。というのも中学校は部員を12人揃えることすら難しいチームでした。自分が3年生のときになんとか12人揃い県大会の予選に出場できました。そんなチームなのでもちろん誰からも期待されていませんでした。試合は1回戦で県内の強豪校に0-117の大敗で僕の3年間は終わりました。

 

岡田) そうだったんですね!それから高校はラグビーの名門御所実業に進んだそうですが、どういう心境だったんですか?

 

左海) 一言でいうと「反骨心」ですね。僕は大好きなラグビーをもっと高いレベルでやりたいという想いがありました。ただ周りからは「1回戦も勝てないようなチーム出身の人が試合に出られるわけがない」「今の実力に見合った高校を選ぶべきだよ」と言われました。なぜか自分がそういうことを言われるたびに「よし!やってやるぞ!」と一人で燃えていたのを覚えています。

 

岡田) 実際に御所実業に入学してからはどうだったんですか?

 

左海) 周りの人が言っていた通りでした。100人が在籍するチームでA~Dチームまであり一番下のチームからスタートです。一番下のチームの中でも足を引っ張ることが多く、チームメイトからもよく「何がしたいのかわからない」「パスが下手くそ」と怒られていました。そこでも自分は言われる度に「課題が明確になった!」「パスを練習すればいいんだな」と一人で勝手に燃えていました。

 

岡田) すごい競争環境ですね。辞めようと思ったことはないんですか?

 

左海) 何度かあります。特に合宿が本当にハードでくじけそうになったこともあります。

 

岡田) 強豪校の合宿はハードそうですね。印象に残ってることはありますか?

 

左海) 全国から30~40校集まる自校主催のラグビーフェスティバルが毎年夏に開かれます。この時期になると憂鬱でした。毎朝5時に起きて5㎞先のグラウンドへ走って向かいます。急いでグラウンドの準備、それが終わったらAチームの練習や試合のサポートです。一日中炎天下でバテた状態で夕方からC,Dチームの試合に出場します。後片付けをしてグラウンドを出ると19時を回っており、宿舎に帰り食事と洗濯、ミーティングを終えると12時をとっくに過ぎています。今だから言えますが、Aチームが試合をしている最中にトイレの個室で座りながら寝たこともありました。

岡田) そんなハードな合宿があったんですね。上級生になってからはどうだったんですか?

 

左海) 2年生から少しずつBチームへ上がるチャンスをもらいました。ただ要求されるレベルも高く、すぐには結果は出ませんでした。秋の全国大会の予選もスタンドから応援していました。そして迎えたラストイヤー、同じポジションには高校生日本代表の選手がおり、自分がAチームで出場するのは絶望的でした。でもそんなときに同級生から「そのままスタンドにおるつもりか?」と言われハッとしました。今のポジションで出れないなら他に変えようと決意。スタンドオフからフランカーへ転向しました。それから毎朝始発でグラウンドへ向かい、朝練をしました。すると不思議なことに他のチームメイトも集まるようになりました。これでは差が付かないと思い、夜の練習後にウエイトトレーニングも始めさらに自分を追い込むようになりました。

 

岡田) スイッチが入った感じですね。

 

左海) 結果的に春からフランカーとしてAチームの試合に出場するチャンスを頂きました。ただ、春の大きな大会で自分のミスのせいで負けて悔しい思いをしました。そこからさらに練習に熱が入り、結果は全国大会準優勝で終わりましたが、レギュラーとして試合に出場できました。最後の試合では、中学校のときに反対してきた人たちが応援に来てくれたのも感慨深かったですね。

 

岡田) まさにラグビーをする中で、自分で人生を前進させていますね。

 

左海) 大学へ入学してからも、東海学生リーグAへの昇格や地区対抗優勝などの経験ができました。キャプテンを経験するなど人間的にすごく成長できました。社会人ではトップウエストリーグの大阪ガスで3年間プレーし、その後はラグビーに関わり続けたく働きながらラグビーコーチを続けました。

 

岡田) 本当にラグビー漬けの人生ですね。社会人になってからカナダへ1年間ほど行ったと伺いましたが。

 

左海) ずっと海外生活を経験してみたいという憧れがあったので、社会人4年目で1年ほどカナダへ行きました。英語も話せない、仕事も決まっていない状況でしたが、その状況で自分がどんな経験ができるのか挑戦してみたいという思いがありました。この時期の詳しい話はまた別の機会にしたいと思います笑。

 

岡田) わかりました。では、これからGpassionersでどんなことがしたいのか教えてください。

 

左海) 僕はこれからもずっとラグビーに関わり続けます。ラグビーを通して人生を前に進めていきたいです。身体が動くうちは選手としてもっと成長したいです。ラグビー選手として以外のところでは、やはりこのチームには「やるか、めっちゃやるか」でそれぞれの分野で活躍されている人が集まります。そんな環境だからどんどん面白いことができると思います。自分はその中でも、人財探しをめっちゃやりたいです。「何かに没頭したい」と思っている人が輝ける場を提供してその人の人生を進めるきっかけになりたいです。ラグビーチームとしてはまだまだ15人揃っていない状況ですが、自分は今の状況に燃えています。

 

岡田) まさに逆境に燃えているんですね。最後に左海さんは今回リクルートパートナーシップを活用しての入部となりましたが、実際に入部してどう感じたのか教えてください。

※リクルートパートナーシップとはGpassionersでの活動に対する理解があり選手やスタッフとしての活躍を応援してくれる企業とラグビーに没頭したい選手をマッチングさせる取り組みです。

 

左海) 最初にも言いましたが、やはり仕事とラグビーの両立はハードに感じることも多いです。この制度を利用する前は本当に練習に間に合うように帰宅できるのか?周りの人から浮いた存在として見られないか?と不安もありましたが、実際は社員の方からは「ラグビー頑張ってるみたいだね」「試合はいつあるの?」など気にかけて応援して下さっています。また、自分の好きなラグビーに没頭できるように普段の仕事でしっかりとパフォーマンスを出そうという良い意味でのプレッシャーもあります。こういった制度もあるのでぜひ社会人でも思いっきりラグビーに没頭したいという熱い人、何かをやりたい!という想いがある人には「悩んでいたら来い!」と言いたいです。

 

話を聞いた人:左海 達也(さかい たつや)

1996年生まれ、奈良県出身。小学生のときからラグビーを始め、高校は名門御所実業へ進学。Dチームからスタートし、努力と持ち前の負けん気で3年生のときには全国大会準優勝の中心メンバーとなる。名古屋学院大学へ進学後はチーム創部初となる東海学生リーグAへ昇格、地区対抗優勝を成し遂げる。社会人で3年間大阪ガスでプレーしたのち、カナダへ武者修行へ。帰国後会社員をしながらラグビーコーチを続ける中、2023年6月に開催されたGpassionersチャレンジマッチ出場をきっかけにプレイヤーとしての活動を決意。情熱を測る入団セレクションを通過し2023年9月よりGpassionersに入部。

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